夏らしい写真スポットとして人気で、日高地方でも多くの人に来て楽しんでもらおうとヒマワリ畑が増加している。

 日高新報でもヒマワリ畑を写真で紹介することがあり、一面に広がる鮮やかな黄色は夏空に映え、こんなに元気をくれる花はほかにないとつくづく思う。苦悩が多い人生を歩んだ画家ゴッホも、南フランスの明るい太陽の下、画家のユートピアを作ろうと希望に満ちた時期に生命力の強いヒマワリの油絵を制作している。

 私は今年、日高川町和佐のチョコレート製造メーカー㈱たにぐちの農園にあるヒマワリを取材した。広い畑一杯に育てられた小さめの花がかわいらしく、たくさん写真を撮った。そろって通りに背を向けて咲いており、花が見える方に回り込むとバックに青々と茂る山とのコントラストが美しかった。ここで気になったのが花が咲いている向き。ヒマワリは漢字で「向日葵」と書き、太陽の方を向くと習った気がしたが、東を向いていた。少し調べてみると、成長段階は蕾を付ける頃まで太陽を追いかけるが、花が咲くと基本的に東向きに固定されるという。その理由は、朝日を浴びて夜露を早く乾かすことが、茎への負担軽減や病気予防など諸説あり、最近の研究では、早朝から花の温度を上昇させることで、夜間に下がった体温を上げたいミツバチなど昆虫が多く訪れ、受粉に効果的であることが発表されている。

 人を元気にする花は、子孫を残すためたくましく咲いていた。とはいえ、開花期間はたったの2週間ほど。この間に最高の絶景を作るには、東向きに咲く習性を理解し、西に海が広がるなど一層花が映えるよう場所を考慮すれば、どこにも負けない素敵な景色になるだろう。(陽)