政府の衆議院議員選挙区画定審議会は16日、全国の小選挙区数を「10増10減」し、1票の格差を是正する区割り改定案を決定、岸田文雄首相に勧告した。区割り見直しの対象は25都道府県140選挙区となり、和歌山県では現行の3区から2区に減ることになる。

 人口比例を重視して議員定数を配分するアダムズ方式を初めて採用。1票の格差は現行の最大2・096倍から1・999倍に縮小する。和歌山県の新しい1区は、現行1区の和歌山市に2区の岩出、紀の川市が加わり、3市で構成。新しい2区は現行で2区の橋本、海南、有田市などと、日高地方の7市町や田辺、新宮市など3区の自治体が加わり、27市町村に再編される。政府は、秋の臨時国会で区割り見直しを盛り込んだ公職選挙法の改正案を提出し、成立を目指す方針。

 現在、和歌山県1区は岸本周平氏、2区は石田真敏氏、3区は二階俊博氏が現職を務めている。1区では岸本氏が今年12月16日の任期満了に伴う知事選挙に出馬を表明しており、告示日に立候補すれば自動失職して空席となる見通し。新たな2区では石田氏と二階氏の地盤が競合する形となり、世耕弘成参議院議員の衆議院へのくら替えの話も出るなど、今後の動きが注目される。

 二階氏は「一度決められたことには従うべき。地方の声が国政に届きにくくなるという点については、地方の選出議員として選挙制度のあり方を問題提起しなければならない」。仁坂吉伸知事は「人口に比例して機械的に配分すると、地方の実情を知る国会議員の比率が低くなり、地方の意見が国政に届きにくい状況が生じる。国には抜本的な制度の見直しを行っていただきたい」とコメントしている。

新しい小選挙区の区割り