帝政ロシアのピョートル大帝が北方戦争に勝利したことについて、プーチン大統領は「彼は何も奪っていない。領土を取り返したのだ。領土を奪還して強固にするのは我々の責務だ」と述べ、ウクライナ侵攻の本音を漏らした。

 ウクライナへの侵攻開始から100日が過ぎた。この間、フィンランドとスウェーデンがロシアへの中立の立場を捨て、NATO加盟を申請したが、その手続きがトルコの待ったにより、時間がかかっている。

 フィンランドとスウェーデンはトルコが憎むクルド人を受け入れており、NATOのメンバーであるトルコはフィンランド、スウェーデンの加盟賛成の条件として、両国へ逃れたクルド人政治活動家らの身柄引き渡しを要求している。

 クルド民族はトルコ、イラク、イラン、シリアにまたがり、独自の文化と言語を持つが、自らの国家がないため、いずれの国でも少数派として弾圧されている。とくにトルコとは独立を求めて戦った経緯があり、トルコはテロリストに指定している。

 日本へ逃れたクルド人も多いが、日本政府が在日クルド人を難民認定するケースはほとんどない。政治的な理由を指摘する声が多い。ナチスの迫害を受けたユダヤ人、ロマ族をはじめ、現在もシリア、ウイグル、ロヒンギャなど、国家を持たぬ難民、少数民族は辛酸を嘗め続けている。

 プーチン大統領はウクライナを独立国家とはみていない。仮に、ウクライナのゼレンスキー大統領が退陣、全面降伏を受け入れることになればどうなるか。かつての日本のGHQのような緩い占領など望むべくもない。

 日本とトルコの友好の象徴の地は和歌山県の串本町。県民、日本人としていま、クルド人ら少数民族の苦難に目を向けたい。  (静)