31日の世界禁煙デーから始まる1週間は禁煙週間(6月6日まで)。禁煙デーは、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指して世界保健機関が定めた日で、厚生労働省の今年のテーマは「たばこの健康影響を知ろう!~若者への健康影響について~」。本紙では、健康日高21推進協議会たばこ専門部会長を務める御坊保健所の新谷浩子所長に受動喫煙や子どもの成長への影響などについて聞いた。

 受動喫煙とは、喫煙者の副流煙や吐き出した煙など有害物質が含まれる煙を吸ってしまうこと。「望まない受動喫煙を防ごう」を合言葉にさまざまな啓発活動が展開されている。新谷所長は、受動喫煙させない環境づくりには正しい知識を持つことが大切と強調。「副流煙を吸ってしまうことは喫煙者よりも肺がんなどになりやすいといわれています。受動喫煙は乳幼児突然死症候群の原因の一つであることもわかっています」とし、「換気扇の下で喫煙しても、煙は100%出ていくとは限らないので、屋外に出て吸ってください。喫煙して数分間は吐く息に発がん性物質が含まれることがデータで示されています。衣服にもつきますし、家の中なら壁や寝具にもついてしまいます。家族を守るためにもきちんと知識を持ってください」と周囲に迷惑をかけないよう協力を求めた。

 喫煙を始めさせないことも重要とし、特に若年層には成長に及ぼす危険性を訴える。「喫煙開始年齢が低いほど、ニコチン依存症や肺がんになりやすくなります。育ち盛りの20歳くらいまでは体が細胞分裂しているので、リスクが高くなるのです」と説明し、「喫煙を始めさせないために大人がしっかりと教育することが大切。そのためにまず大人が知識を深めてください」と呼びかけた。

 加熱式たばこにも注意が必要とし、「喫煙者本人や周囲への健康影響やにおいが、紙巻きたばこより少ないという期待から始める人が多いようですが、発がん性物質が一定量含まれており、製品によってはニコチンの量も紙巻きたばこと同程度のものもあります。ニコチンは大切な血管を傷つける物質で、強い依存性で禁煙を辛くさせてしまう」と啓発。「自身の意思でたばこをやめるのは難しい場合も多いので、禁煙外来を受診することを勧めます。御坊日高がたばこ対策の先進地域になるように今後も取り組んでいきたい」と話した。