天候に恵まれた3連休、どの地域にも行動制限が出されていないゴールデンウイークとあって、全国各地で行楽地がにぎわうニュースが流れ、お出かけはできなかった筆者も明るい気分になれた。感染が増えると行動制限がされるかもしれないが、これがウイズコロナの一つの形ではないか、そんな気もしている。ぼんやりだった長いトンネルの先の光が、また少しはっきりしてきたように思える。一方で、もっと深刻な闇が日に日に身近に感じるようになっている。ウクライナに一日も早く平和が訪れてくれることを心から願う。

 3連休最終日の5日、田辺市龍神村殿原で今年も営まれたB29搭乗兵の慰霊祭を取材した。太平洋戦争末期の1945年5月5日、日本の戦闘機と交戦中に同地区に墜落。死亡した搭乗兵を地元住民が埋葬し、その年の6月9日に慰霊祭を執り行った。以来毎年続けられており、先人の平和への願いは今にしっかりと受け継がれている。慰霊祭は例年通りだったが、参列者の心の内は例年通りではなかったろう。ウクライナの惨状に心を痛め、「戦争のない世界をつくりたいとの思いで継承してきた。ロシアの侵攻は非常に残念」との声が聞かれた。

 慰霊祭には、初めて参列したアメリカ出身の男性ジャーナリストの姿もあった。こうした新たな出会いが生まれたのも78年続けた大きな成果の一つだろう。男性は「自分の国のことだけ考えても平和はこない」といわれていた。調査を続けている古久保健さんは「この日だけでも平和について真剣に考えてほしい」と静かに話された。筆者を含め、平和のありがたさをどれだけの人が気づいているだろうか。2人の言葉が胸を突く。(片)