JA紀州が賞味期限の迫った災害用備蓄食品などをNPO法人フードバンク和歌山に寄付するのを取材した。そのとき、フードバンクの鈴木正文事務局長に県内の貧困率が全国平均より高いことを教わったので少し調べてみた。

 貧困率には、世界銀行が定めた国際貧困ラインの1日1・90米ドル未満で生活する人の割合とされる「絶対的貧困率」と、世帯の所得がその国の等価可処分所得(手取り収入を世帯人数の平方根で割って調整した額)の中央値の半分(2018年の日本は127万円)に満たない人の割合とされる「相対的貧困率」がある。後者は生活状況が自国社会の大多数より貧しい状態にある人の割合を指し、日本ではこれを採用している。

 日本の貧困率は6人に1人にあたる15・7%(2019年)で世界12位。G7(先進7カ国首脳会議)の中では、アメリカに次ぐワースト2位。国内の都道府県別ランキングでは全国平均が14・4%だった15年のデータで、和歌山は18・8%のワースト9位。相対的貧困率は所得格差の現れで、高齢者世帯や一人親世帯で高くなっている。貧困率が高い都道府県ではそれぞれ対策がとられており、和歌山でも子供の貧困対策推進計画が策定され、子どもの居場所作りや子ども食堂の支援などが行われている。

 鈴木事務局長によると、新型コロナの影響で、支援を必要としている人が目に見えて増加しているという。物価の高騰に上がらない給与、進む円安で日本の経済は悪循環を続け、さらに格差が広がる可能性もある。お腹をすかせた子どもがいる一方で、食品ロスが問題となる矛盾も。世界の子どもたちがお腹いっぱいごはんを食べられる社会は実現するのだろうか。

(陽)