笑いは健康にいい効果を与える。人は笑うことで免疫細胞が活性化し、免疫システム全体のバランスを整える効果が医学的に実証されているという。また、自分は笑わずとも、人の笑顔に心癒されるというのも経験的に理解できる。

 ウクライナは避難施設や病院が爆弾の標的となり、ロシア軍が撤退した首都近郊で無数の民間人の遺体が発見された。街には悲しみと恐怖、怒りが渦巻き、とても笑っていられる状況ではない。

 ある家族は大黒柱の父親が街に残り、母親が幼い2人の子を連れてポーランドへ逃れた。子どもたちは避難所で体調を崩し、母親も涙に暮れる日々が続いたが、ドイツの家族に受け入れてもらって以降、子どもたちに笑顔が戻った。

 近所の子どもと公園でサッカーを楽しみ、家でも学校へ通うためにドイツ語の勉強を始めた。母親も元気になったわが子の笑顔を見ながら笑えるようになり、前を向いて生きる力を取り戻したという。

 家でそんなニュースを見ていたら、テレビの関連会社で仕事をしている知人からLINEがきた。「きょう放送されたニュースを見て」と、動画が添付されていた。

 満開の大和高田の千本桜。木の下で赤ちゃんを抱くお母さんが取材に答える。「出産前の去年も花見をしながら、『来年はこの子と一緒に歩くんやなぁ』と思ったけど、それがこうして実現してうれしいです」。幸せそうなお母さんと赤ちゃんのとびきりの笑顔が、避難民の家族と重なった。

 コロナ、戦争、自然災害、まさかの開幕9連敗…。桜もいまいち気分が晴れないが、思いがけない知人のLINEであらためて笑顔の力を感じ、励まされた。

(静)