恥ずかしながら3年前に印南町担当になって初めて訪れた川又観音。一歩足を踏み入れた途端、癒しというか、心地よさというか、別次元の空気を感じる場所で、印南町の中でも好きな名所の一つ。春のシャクナゲ開花や参道の太鼓橋の架け替え、外来植物のジギタリスなどの取材はもちろん、休みの日には奥さんと一緒に行ったこともあった。最奥には高さ20㍍の「菱の滝」があり、これがまた大自然の清らかさを感じさせてくれる。最近知ったが、雨が降ったあとに山の水量が増えた時は、菱の滝から向かって左側にもう一本滝が出現するそうで、今度はそれを見てみたいものである。

 そんな川又観音では今年もシャクナゲが開花しており、先月31日に訪れた時は一部の木で大輪を咲かせていた。参道沿いなどに約3500本が植栽され、まさにインスタ映えスポット。開花はこれからが本番で、6月頃までさまざまな色の花が咲く。恒例の今月18日の会式は新型コロナの感染予防で式典のみとなり、餅まきや産品販売は中止となるが、ぜひ時間のある方は見に行ってほしい。

 ところが、一つ残念なことがある。それは携帯電話の電波が届かないエリアであること。自然のよさと言えばそうかもしれないが、多くの人が来る場所が、いまどき電波が届かないというのはいかがなものか。付近住民が不便なのはもちろん、災害やケガなどもしもの緊急時にも連絡が取れなくては困るし、仮に有名なインフルエンサーが来てもシャクナゲのきれいさをスマホでライブ配信してもらえない。電波基地局の整備には国の補助もあるそうなので、何とか早期に解消されることを期待したい。

(吉)