御坊市立図書館が「ぬいぐるみのおとまり会」を開催。お気に入りのぬいぐるみを図書館に預け、後日、ぬいぐるみが本を読んだり図書館の仕事を手伝ったりしている写真と一緒に返してもらうという催しだ。「おあずけ」の日のイベントを取材した◆コロナ対策を施したうえでごく短い時間だったが、子どもたちはそれぞれのぬいぐるみを抱えて絵本の読み聞かせに耳を傾け、楽しそうだった。会場には御坊市公認PRキャラクター「みーやちゃん」の分身、最近お目見えしたばかりの「ミニみーやちゃん」の姿も。子どもたちから「みーやちゃんと写真撮って」とリクエストが上がるなど、早速人気ぶりを見せていた◆御坊市では今回が初めてだったが、「ぬいぐるみのお泊まり会」は近年全国的に広く開催されているらしい。インターネットで画像検索すると、いろんなぬいぐるみが一冊の本の周りに集まって仲良く読んでいたり、大きなぬいぐるみが小さなぬいぐるみたちにお話を聞かせたり、かわいい写真がずらりと画面に並ぶ。アンデルセン童話「イーダちゃんの花」、バレエの「くるみ割り人形」、日本の童謡「おもちゃのマーチ」など、「夜になると、おもちゃや人形たちは動き出して楽しく過ごしている」という発想は古今東西問わず世界でおなじみだが、現代の子どもの心をもつかむようだ◆「夜の図書館」という自分の行けない場所で、身近なお友達であるぬいぐるみが楽しそうに過ごす様子を見るという経験は、きっと想像力や遊び心を大きく育てる。身の回りの現実だけが世界のすべてではないことを教えてくれる。それが心の奥底にいつもあれば、この困難な時代を乗り切るバネになる。いつだって、世界は目に見えているだけのものではない。

(里)