新年を迎えて各地で成人式が行われ、多くの新成人が大人の仲間入りを果たした。社会人には最低限のマナーがあり、食事、冠婚葬祭、服装、ビジネスなどさまざまなシーンで求められる。次代を生きる若者にはぜひ身に付けてほしいが、若者たちの見本となるべき世のおっさんたちのマナーはどうか。

 先日、ある取材の際に主催者側が報道用に用意したテーブルと椅子があったので、一番乗りの筆者がテーブルにカメラを置いて椅子に座って時間待ち。他の全国紙や地方紙の記者らも続々と集まってきた。筆者は取材がもうすぐ始まるので、とりあえずカメラを手にして立ち上がり、椅子の真後ろにいると、何やら態勢を低くしてコソコソと横から動いてくる人影が。驚いたのは次の瞬間。その人は無言のまま椅子にかばん、机にカメラをスーッと置いた。つまり席を取られたのである。

 確かにマスコミの場所取りでカメラや荷物、脚立を置くのが暗黙のルールになっており、あの瞬間、筆者は机や椅子に物を置いていなかったので横取りされても仕方ない。しかし、それまで筆者が座っていたのは見えていただろうし、まして椅子に引っ付くぐらい真後ろに立っていた状況で、席を取りに来るものか。せめて「ここいいですか」の一言があってもよかったのではないか。筆者は写真さえ撮れればその場を去る予定だったので、声を掛けてくれれば気持ちよく譲っていたのに。

 記者は一般の感覚や読者目線で記事を書くことが重要。そんなセンスを養うためにはやはり一般的な常識やマナーを身に付けておくことも大切だ。新成人に笑われないよう、自分自身もしっかり心掛けたい。

(吉)