津波高90㌢を観測した御坊市の祓井戸漁港

 日本時間の15日午後1時ごろ、日本から約8000㌔離れた南太平洋のトンガ王国近海で発生した海底火山の噴火で、16日未明、県内の沿岸にも津波注意報が発令された。

 観測所がある御坊市名田町野島の祓井戸漁港では、気象庁が注意報を発令する前の15日午後9時15分に第1波が観測され、午前0時15分の注意報発令後の0時31分に最大となる津波高90㌢を記録した。串本でも90㌢、そのほかでも30㌢から50㌢が観測された。

 沿岸部の市町では注意報の発令を受け、担当職員らが対応。釣り客らに海岸や河川から離れるようにと注意を呼びかけた。御坊市では職員10人が庁舎に集まり、情報収集や津波注意報の発令を市民に伝えるなどに当たった。薗地区の自主防災会は避難タワーの鍵を開け、迅速に避難準備を行っていたという。印南町は対策本部を設置し、全職員約80人が参集された。各市町のまとめによると、日高地方では被害はなく、交通機関の乱れもなかった。住民の自主避難も確認されていない。

 みなべ町の60代の漁師は「和歌山県と同じ程度の津波高だった高知県と徳島県で漁船が転覆したという報道があったが、県内はほとんど被害がなかった。高知や徳島の被害は不思議な感じを受け、局部的に被害がある竜巻のようなものが発生したのかもしれないと思った」と話していた。