正月の伝統行事といえばおせち料理やしめ縄飾りなどたくさんあるが、我が家は普段の生活と大して変わりない。強いて言えば初詣に行くことと元旦に届く年賀状を楽しみに待つことぐらいだ。今年もバイクのエンジン音が聞こえると、すぐにポストをチェックし、届いていたはがきをこたつに入って1枚ずつじっくりと読ませていただいた。
 遠くに住んでいて会えない友人からのはがきは一緒に過ごした当時を思い出させてくれるし、いつも会っている人からのはがきもちょっとした一言が添えられていれば、うれしい気分になる。

 しかし、その年賀状の発行枚数は年々減少しているという。日本郵便によると、1949年に発売され、64年に10億枚、73年は20億枚を突破。ピーク時の03年は44億5936万枚となったが、08年からは減少の一途をたどり、22年用の発行枚数は18億2536万枚だという。ピーク時と比べて半分以下に落ち込んでいる。

 背景にはメールやSNSの普及が大きく、「新年のあいさつだけなら、わざわざ年賀はがきを出す必要がないのでは」という声があるようだ。手間もかかるし、はがきの購入や印刷の経費がかかるのも年賀状離れの要因だという。

 現代社会はデジタル化が急速に進んでいるが、アナログにも良さがある。感覚的に理解できることもあるし、表現も豊かに伝わる。年賀状も同じで、差出人の字から何となく、相手の気持ちが理解できる。短い言葉だけでも近況などが想像でき、受け取り側の心を癒やしてくれる。年初めから穏やかな気持ちになり、この気持ちで一年が過ごせればと思う。良い年になりますように。 

(雄)