市民教養講座の本年度第2回講座は、経済ジャーナリスト荻原博子さんの「くらしと経済」。数字の苦手な筆者に理解できるのだろうかと心配しながら出かけたが笑いも交えて親しみやすい口調で、語ってくれたのでひとまずほっとした◆投資に類することといえば宝くじを年末に3枚買うぐらいの筆者だが、「分散投資は、卵を一つだけの籠ではなく、幾つもの籠に分けて入れておくようなこと。そうすれば一つ割れても大丈夫」というたとえは分かりやすかった。「でもリーマンショックの時には、全部の籠が割れてしまいました」との展開には笑いが起こり、「割れなかったのはゆで卵。つまり現金」という結論も説得力があった。形態が変動しやすい脆弱な財産ではなく、しっかりゆでられた卵のように実質のある「モノ」としての財産なら、状況の変化に影響を受けない。「借金減らして現金増やせ」というのが荻原さんの主張である◆「老後の安心な生活のために必要なのは、いい夫婦仲」という話は経済問題から外れたようだが、「仲が悪いとステーキ食べても仏頂面、仲よしなら素うどん食べても幸せ。仲がよければ節約も容易にできる」という論旨はなるほどと思わせられる。ある漫画に「人々の暮らしを豊かにするのが経済の目的で、(経済がゲームだとするなら)それが最終ゴール」という言葉があったが、経済とは決して無味乾燥な机上の論理ではなく、人の暮らしや感情をも映しているとよく分かった◆ちなみに、近く御坊でも上映される天海祐希主演のコメディー映画「老後の資金がありません!」に、荻原さんも本人役で出ているそうだ。予告をみると面白そうだったので、暮らしと経済をより分かりやすく学ぶためにも見に行こうと思う。

(里)