写真=リノベーションを計画している空き家と坂井さん

 印南町稲原地区の活性化を図ろうと、地元有志でつくる新たな団体「いなはら友遊」が発足した。「わいわい稲原まちづくりプロジェクト」と銘打ち、来年度中にリノベーションする空き家を拠点に、子どもから大人までが気軽に集まれる場所づくりを進める。休耕田の活用や農業体験、幼児向け公園整備のほか、高齢者向けの買い物支援サービスなども導入し、地域が一丸となって幅広い取り組みを展開する。

 少子高齢化や農業の後継者不足、買い物難民の増加などが進む稲原地区で地域コミュニティーの再生を図ろうと地元有志が立ち上がり、去る21日には住民への説明会を開催。現在、団体メンバーは22人で、今後も参加を呼びかけていく。

 拠点となる稲原小学校西の空き家は、地元出身で、大阪市のテント・看板・内外装キセイ株式会社の会長を務める鍬先篤さん(72)の実家。地域活性化の趣旨に賛同し、無償提供される。リノベーションには国の補助金を活用する予定で、認可を受ければ来年7月に着工。木造平屋の母屋を改修してトイレや炊事場も設置し、離れの建物は解体してその場所に子どもたちの遊具や砂場を整備。2023年3月末までの完成を目指す。名称は「憩いの家いなはら」とし、駄菓子や手芸品販売、交流サロンのほか、座談会、映画鑑賞会、カラオケ、歴史文化勉強会など世代間交流イベントを企画していく。産業振興では地元の休耕田で農作物を栽培して各種イベントなどで販売。民泊の農業体験も行う。関係人口の創出ではウオーキングイベントや稲原PRマップ・看板の設置を行い、福祉面では買い物や通院支援サービスも展開する。

 いなはら友遊では役員を選出。坂井誠治会長(73)は「地域が一つの家族のように『くつろぎ』『支え合い』『つながる』ために同じ思いを持つ仲間の集まりです。みんなでわいわいと盛り上げていければ」と話している。副会長は谷章資、黒井美晴、芝正次の3氏。