今年1月1日から10月末までに県内で発生した労働災害(休業4日以上)は934人で、前年同期と比べて153人増と大幅な増加傾向にある。業種別では製造業が205人で最も多く、全体に占める割合は21・9%。以下、保健衛生業169人(18・1%)、商業138人(14・8%)、建設業132人(14・1%)などが続き、特徴としては全国的な傾向と同様、新型コロナウイルス感染が大きく増えている。

 和歌山労働局のまとめによると、今年の10月末までの県全体の労働災害(休業4日以上)は934人(死者7人)で、業種別では多い順に製造業が205人(1人)、保健衛生業が169人(1人)、商業が138人、建設業が132人(3人)、運輸交通業が78人、農林業が65人(2人)、接客娯楽業が42人――など。これらを前年同期と比較すると、医療機関や社会福祉施設などの保健衛生業が70人増と大きく増えており、建設業は40人増、商業が37人増となっている。

 今年の特徴としては全国的な新型コロナの感染拡大に伴い、県内でも職場の同僚からとみられる感染者が増加。事故の型別では、転倒が203人、墜落・転落が146人で、新型コロナ感染を含む「その他」は前年比35人増の139人となっている。事故型区分の「その他」を業種別にみると、病院や社会福祉施設の保健衛生業は46人で、建設業(29人)や製造業(24人)を抜いて最多。以前から増加傾向にある高齢者福祉施設での転倒、無理な動作などの事故に加え、新型コロナ感染が大幅増の要因とみられている。

 有田地方と日高地方(みなべ町は除く)を所管する御坊労働基準監督署管内の今年の労災発生状況は、10月末時点で前年比12人増の141人。業種別では建設業と製造業がそれぞれ10人増、7人増と大きく増えており、8月には工場の敷地内で60代の男性が作業中に転落、死亡する事故が発生している。

 10月には田辺労基署管内で、山で間伐等の作業をしていた男性が亡くなる事故が2件相次ぎ、和歌山労働局は林業の労災撲滅に向けた事業者への緊急要請を実施。12月1日から1月15日までは全国一斉の年末年始無災害運動となっており、御坊労基署は通常の現場パトロール等の取り組みを強化し、関係機関・団体への啓発も実施する。