写真=老朽化が進んでいる堺市立日高少年自然の家

 日高町志賀の青少年健全育成施設「堺市立日高少年自然の家」が来年3月末で廃止となる見通しとなった。施設を所有する大阪府堺市が策定した財政危機脱却プラン(素案)に廃止する施設として盛り込まれ、12月の市議会に設置条例の廃止を提案する考え。老朽化に伴う維持管理コストの増加や利用客が年々減少していることを要因としている。

 堺市立日高少年自然の家は1975年にオープン。鉄筋コンクリート2階建ての宿泊棟(建築延面積2230平方㍍)、鉄筋コンクリート2階建ての食事棟(食事フロア面積366平方㍍)がある。築46年が経過して老朽化が進んでおり、16年度から昨年度までの5年間で外壁改修などを含めて約1億6500万円の修繕費がかかっていた。近年は利用者数も減少し、10年前の11年の利用者は4万1251人だったが、19年度は2万7434人と約3割減。昨年度は新型コロナの影響もあり、約3000人となっていた。小学生らの臨海学校の宿泊施設などとして活用されることが多いが、11年に発生した東日本大震災が引き金になり、南海トラフの巨大地震の発生が懸念されていることから利用を控える傾向があるという。堺市に近い岬町淡輪にも同じような機能を持つ大阪府立の青少年海洋センターがあることも影響している。

 堺市は今年2月に財政危機宣言を発表し、8月には市政の根本的な改革を進めるために財政危機脱却プラン(素案)を策定。財政改善に向けた取り組み内容の1つとして少年自然の家の廃止が盛り込まれた。現在は公益財団法人大阪YMCAに指定管理を委託しているが、廃止することで年間5700万円の改善が見込めるという。来年4月以降の跡地については民間活用を含めて検討する方針としている。