通信エラーが起きにくい光ファイバー技術の開発に、慶応義塾大学の研究グループが成功した。光ファイバーとは、映像や音声等の情報を伝送するためのケーブルで、私たちに身近なインターネット回線などに使われている。

 現在主流のガラス製のものは、大容量のデータを高速で送る場合、通信エラーが避けられず、それによる通信の遅延や消費電力の増大が課題となっている。今回開発された技術は素材に特殊なプラスチックを使っていて、従来のものと比較し、柔軟性や耐久性が高い。約100㍍までの長さでは、大容量の情報を高速で通信してもエラーが起こらないという。

 揺れなどの衝撃にも強いとされ、自動運転の車など、機器同士が高速で正確な通信を行うことが求められるハイテク製品への活用が期待されている。

 一方、防衛省は光ファイバー技術を使って飛行するハイテク航空機を既に保有している。P1哨戒機という純国産の航空機で、世界で初めて操縦システムに光ファイバーを採用した実用機である。この航空機は、海上自衛隊が日本周辺海域のパトロールを空から行うために開発された。

 開発は、防衛省と川崎重工業が2001年にスタート。2007年に初飛行に成功し、現在30機以上が任務についている。操縦システムに光ファイバーを採用したのは、従来のシステムに比べて消費電力が少なく、軽量であるからと言われている。

 近年、民生技術と軍事技術の境界が曖昧になっている、という問題が指摘されている。技術の進歩を止めることはできないが、軍事技術も平和を守るための抑止力として機能し、世界の人々が平和に暮らせるようになることを願うばかりである。    (也)