7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の被害を受けて、和歌山県は県内の盛土箇所5834カ所の総点検を実施しており、土砂災害警戒区域(土石流発生の恐れ)とその流域の盛土箇所合わせて838カ所の中から、最優先すべき現地点検箇所として76カ所を特定した。日高地方でも最優先箇所に5町18カ所が入っており、来月上旬までに目視の現地点検が行われる。

 県が航空写真や地形データ、宅地造成許可申請、住民の情報などを基に抽出した県内の盛土は5834カ所。内訳は土砂災害警戒区域(土石流)とその流域838カ所、それ以外の地域(がけ崩れの恐れなど)4996カ所。今回、土砂災害警戒区域とその流域838カ所の中から、高速道路の盛土や申請書通り適切な造成がされているなど安全と判断できる762カ所以外の76カ所を、最優先すべき現地点検箇所として絞り込んだ。

 このうち日高地方は、日高町2(小坂、池田)、由良町1(吹井)、印南町2(印南原)、みなべ町1(高野)、日高川町12(大又、愛川、平川、船津、三百瀬、三十井川が各1、寒川2、高津尾4)の計18カ所。御坊市と美浜町はなし。

 現地点検は目視で行い、すでに有田川町などでは先行して実施。11月上旬までにはさらに詳しく点検していく。それ以外の地域4996カ所についても来月上旬までに現地点検箇所を抽出し、同様に詳細点検を行っていく。

 県砂防課は「最優先すべき現地点検箇所が全て人家に影響のある危険な箇所というわけではなく、今後の点検で分かってくる。危険だと確認された箇所は対策を実施していくが、盛土箇所のほとんどが私有地となっているため、行政が対策できるのか、どんな予算がつけられるのかなどの課題もある」と話している。

 県では引き続き県民からの盛土情報の提供を呼びかけている。連絡は河川・下水道局砂防課℡073―441―3171、環境生活部廃棄物指導室℡073―441―2681、農林水産総務課℡073―441―2865。