写真=「ハナミズキのみち」を朗読する会員

 おはなしサークル「泉のひろば」の第1回朗読会が27日、御坊市中央公民館で開かれた。

 同サークルは昨年発足。9月から毎月、親子連れが対象の読み聞かせなどを行っており、今回は初めて大人向けの朗読会を開いた。約20人が参加。3月で10年が経過した東日本大震災にちなむ絵本「ハナミズキのみち」、「希望の牧場」などを朗読した。

 「ハナミズキのみち」は息子を津波で亡くした母が、「お母さん、みんなが安全なところへ逃げる目印になるハナミズキの道をつくってね」という息子の声をきいて、高台へ向かう道に沿ってハナミズキを植えていくという内容。息子を思い多くの人を助けたいと願う詩が、静かに訴えかけるように朗読され、来場者はじっと耳を傾けた。

 「希望の牧場」は、福島第一原発の事故で立ち入り禁止区域となった町で、売り物にならない300頭の牛を養い続ける牧場を描いた絵本。理不尽な運命に抗う主人公が参加者の胸を打った様子だった。

 ほかにも子どものために自分の身を犠牲にするクジラの母親を描いた「いのちのうた」など感動を呼ぶ作品が朗読。最後には音楽演奏の時間もあり、立花由紀子さんが大正琴演奏、市職員の丸山雅史さんのギターで阪神淡路大震災復興の歌「しあわせ運べるように」をうたい、好評で幕を閉じた。