2020年度中に県内2カ所の児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談件数は、前年度より35件増えて1726件となり、過去最多を更新(5年連続)したことが県のまとめで分かった。市町村が受け付けた相談件数は前年度より93件減の1567件。

 県内には和歌山市に子ども・女性・障害者相談センター(中央児童相談所)、田辺市に紀南児童相談所があり、昨年度の相談件数は中央が1387件(前年度比17件増)、紀南が339件(18件増)。全体の相談を虐待の種類別にみると、言葉による脅しなど心理的虐待が814件で半分近い47・2%を占め、次いで身体的虐待(498件)、育児放棄のネグレクト(408件)、性的虐待(6件)となっている。

 2018年3月には東京都目黒区で船戸結愛ちゃんが死亡した虐待事件があり、政府が警察と児相の情報共有徹底を盛り込んだ緊急対策を関係閣僚会議で決定した。以降、警察と児相の情報共有は進みつつあり、和歌山県内も警察等からの通報が年々増加。昨年度は前年度より28件多い534件となっており、日高地方の自治体の児童福祉担当職員は「コロナ禍でステイホームの時間が長くなり、そのストレスのせいか、子どもの目の前で父親が母親に暴力を振るうようなケースが増えている。警察がそれを認知した際、子どもへの面前DV事案として児相への連絡が徹底されているためではないか」と話している。