厚生労働省が20日、アメリカのモデルナとイギリスのアストラゼネカの新型コロナワクチンを承認することを了承。21日に正式承認される見通しで、すでに承認し、接種されているアメリカのファイザー製を含め、国が契約した3製品全てが使用可能になる。アストラゼネカ製は、国内の工場でも生産可能で、すでに製造も始まっているという。政府は3社から合わせて、国の人口を上回る1億8200万人分の契約を結んでおり、安定供給されることになる。

 3社のワクチンは、タイプや保管温度、接種間隔など少しずつ違いがあり、気になるのは発症を予防する有効性や副反応。有効率は、ファイザーが94・6%、モデルナは94・1%でアストラゼネカが76%。3社とも主な副反応は接種部位の痛みや倦怠(けんたい)感だが、アストラゼネカ製は、ヨーロッパなどで「血小板減少症を伴う血栓症」が報告されている。血が固まりにくくなるのに、血栓ができるという症例で、イギリスでは100万人当たり4人の割合で発生し、重い後遺症が残る人も。緊急事態とはいえ、デンマークやノルウェーなどで使用が中止されている中、承認されることに不安を感じる。誰もが「接種するならファイザーかモデルナのワクチンを」と思うが、今後、リスクを回避した接種対象者が検討されるだろう。

 ともあれ、ワクチン接種で世界に大きく遅れをとっている日本も、集団免疫の獲得が加速しそう。和歌山県は16日現在、高齢者へのワクチン接種率が9・47%と全国1位で、全国平均の2・57%を大きく上回っている。各自治体の苦労と努力に感謝しつつ、この調子で突っ走り、安全な県、安心な地域として、コロナ前の生活に戻れたらと期待が膨らむ。(陽)