県水産試験場(串本町)は、ヒジキの人工種苗育成で磯場への移植を早めるため、毛糸を巻き付けたコンクリートレンガに種付けする方法を考案した。育苗開始から2~4週間で移植が可能となり、従来の8カ月と比べると10分の1程度に短縮。今年度からは串本町、みなべ町などでこの方法を活用した移植を開始、ヒジキの増産が期待されている。

国内で消費されるヒジキの9割は中国や韓国産。国産は近年人気が高まり、取引価格が上がっているが、収穫量は減少しているという。

ヒジキは干潮時に岩が現れるような磯場で育つ。従来は夏場の乾燥と高温を避けるため、5月に採取した種を生育して翌年1月に移植するという方法だったが、長期間にわたって世話をしなければいけないことが課題だった。

このため、水産試験場は「天然ヒジキの増産に向けた移植技術の開発」をテーマに、2018年から早期移植の技術開発に取り組んだ。コンクリートレンガに毛糸を巻く方法を考案し、巻き方による生育個体数の違いなども検証。効果的に夏場の乾燥などを防ぐ方法を開発した。

移植時の種苗の長さは0・2㌢程度(従来の方法は10㌢程度)と短いが、最長で43㌢まで育成させることにも成功した。コンクリートレンガを磯場に設置する時は水中ボンドで固定し、波で流れないようにする。

水産試験場は「移植後の2年目以降は周辺の磯場にも根を生やし、種でも増えると考えている。磯焼けなどでヒジキが減少しているなか、天然ヒジキの増産につながれば」と話している。

写真=4パターンの毛糸の巻き方で移植実験

写真=移植後に成長したヒジキ