美浜町三尾のカナダミュージアム前にあるガーデンに、高さ4㍍のトーテムポールが設置された。

 トーテムポールは、北アメリカ大陸の太平洋に面した北西沿岸地域の先住民の文化で、古くは大きな家の柱などに使われていた。1880年ごろからヨーロッパ人と交易が始まり、ラッコの皮などを売って富を得たことで、ポールを大きく作るようになった。家の前に建てたり、部族の領域を示したり、墓標や棺も兼ねる墓棺柱などもあり、巨大化は19世紀前半にピークを迎えた。ポールには、持ち主や家族の出自、家系に関わる生き物や紋章、空想上の怪物などが彫られている。

 三尾に建てられたポールは、本場カナダで先住民スクアミッシュ族の血を引く彫刻家が、樹齢300年のレッドシダー材を使用して彫り上げた。昨年夏の制作開始時から記事を書いていたので、どんなポールがやって来るのかとても楽しみにしていて、11日に行われた除幕式でやっと対面。個人的な感想は、赤と黒の2色の塗料が使われており、派手さはない落ち着いた印象。生き物への感謝や敬意が感じられ、木の色を残している部分も多く温かさがある。近づくとやはり大きく、存在感抜群で一見の価値がある。

 新型コロナのワクチン接種が進めば、観光バスも再開され、多くのお客さんを迎えることになるだろう。ガーデンには灯台のレンズも展示されており、花もきれい。ミュージアムではカフェコーナーもあり、カナダのメープルシロップも売っている。遠出ができない今こそ、近隣のスポットを堪能するチャンス。県内の不要不急の外出自粛要請が解かれたら訪れて、カナダ移民のレガシーに触れてみては。(陽)