これほど気持ちが高まるのは何年ぶりか。これまで何度も騙され、裏切られながら、それでも見捨てることができない。そんな「浪花恋しぐれ」のお浜のような40年、このときめきは初めてかもしれない。

 というのは、わが栄光の阪神タイガース。テレビはコロナと総務省の接待問題の陰に隠れてあまり取り上げていないが、ルーキーの佐藤輝明がオープン戦10試合でホームラン6本とエグい活躍をみせている。

 ドラフトは阪神、巨人、ソフトバンク、オリックスの4球団が競合し、矢野監督がまさかの交渉権を引き当てた。近大時代の実績からも「こいつはやるかも」とは思ったが、正直、ここまでやるとは思わなかった。

 18日までのオープン戦の成績は、打率3割6分1厘、6本塁打、9打点はそれぞれ12球団3位、1位、3位。塁打数を打数で割る長打率にいたっては、8割8分9厘という驚異的な数字でトップを走っている。

 これらの数字はすでに歴代の球界を代表するスラッガーと肩を並べ、ここにきてスポーツ紙以外の一般紙も大きく紙面を割き、読売新聞までもが「並の新人ではない」「中軸に引けをとらない風格がある」と絶賛した。

 それほど振り回している感じもなく、こすったような逆方向(レフト)への打球がめちゃくちゃ伸びる。打った瞬間、外野フライかと思いきや、本人はフェンスオーバーを確信。一塁手前で足を緩める姿は中軸以上の風格である。

 このうえマルテとサンズが好調で、ドラ1新人王の高山、近大のパイセン糸井がレギュラー奪取へ目の色を変え、さらに韓国2冠王の新助っ人ロハス、先発復帰の藤浪…。ファンを泣かせ続けたど阿呆タイガースについに浪花の春がくる? 開幕が待ち遠しい。(静)