写真=和歌山ひきこもり支援ネットワーク会議の発足会議

 引きこもりの人の支援を行う県内の民間7団体が参加し、「和歌山ひきこもり支援ネットワーク会議」を発足させた。日高地方からも1団体が参加。引きこもりの長期、高齢化が社会問題となるなか、民間団体の横のつながりを強化し、引きこもり当事者や家族の支援を一層充実させる。19日に和歌山市で第1回の会議が開かれ、参加団体が情報を交換。今後の取り組みについて確認した。

 県内では、ひきこもり者社会参加支援センター事業が18年度に終了し、引きこもりに対する国の支援体制が弱い現状にあるといわれるなか、さまざまな団体が居場所づくりや就労支援を実施。より連携を深め、交流や学習の場を持とうと、ネットワーク会議を発足させた。

 現場の状況と行政の認識における溝を訴える団体も多く、今後は情報の共有や学習を行いながら、支援制度の狭間で社会から孤立した人たちを支援できる体制づくりを図っていく。3カ月に1度のペースで会議を開催。行政との懇談も積極的に行っていく。

 日高地方からの参加団体は社会福祉法人太陽福祉会御坊・日高地域障害者生活支援センターあおぞら24時間安心コールセンター(御坊市)。ほかの団体にも参加を呼びかけているという。

 和歌山市勤労者総合センターで開かれた第1回発足会議では、参加7団体がそれぞれの活動や特色、近況を報告。「居場所のあり方」「事業運営」「ネットワークづくり」「専門性を深めるための研修・情報交換」「実践運動」を今後議論する内容として確認した。

 紀の川市の社会福祉法人一麦会ハートフルハウス創、法人事務局次長の野中康寛さん(47)は「1団体の活動には限界があり、現場の思いを行政に訴えかけるためにも、ネットワーク間で情報交換して知識を深めていきたい」。「行政は『引きこもり支援』を『就労支援』と考えがち。もちろん就労支援は必要だが、相談や居場所づくりによって、引きこもりの本人にとって自分が自分であっていい場所、アイデンティティの獲得が大切になる。そのためには長い時間が必要。県内いろんな地域で会議を開いたり、参加団体を増やしたりし、取り組みを広げていきたい」と話している。