菅内閣の支持率が続落している。読売新聞が先日実施した調査では、支持率が39%に対して不支持率は49%となり、初めて不支持が支持を逆転した。政府のコロナ対策に対する強い不満が表れたとみられるという。

 世界中に感染者、死者が拡大する未知のウイルスとの戦い。欧米諸国に比べれば、日本の状況はかなりましな方だが、それにしても世論調査の結果は厳しい。国民の不満の強さはとりもなおさず、菅首相のリーダーシップの弱さであろう。

 ドイツのメルケル首相の政界引退が近づいてきた。先の与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首選ではメルケル氏に近い中道派のラシェット氏が反メルケルの保守派を抑え、新首相選びの軸になることが決まった。

 メルケル氏が首相となった2005年からこれまで、日本の首相は9人も変わった。メルケル氏は難民危機、金融危機を乗り越え、現下のコロナ対応では国民生活に厳しい制限措置をとりながらも、国民の支持は揺るがない。

 危機に直面し、国民に痛みを強いる必要が生じた際、トップに必要なのは長年の実績と信頼。メルケル氏の人気の理由はまさにこの2つで、ユーロ危機を乗り越えたリーダーの要請には、国民も黙って耳を傾ける。この点は企業もまたしかり。

 就任から日が浅く、とくに実績もない菅首相が、経済を動かしながらコロナの感染を抑えるという難局に挑むにあたり、何よりも必要なのは国民への発信力。具体的な目標を分かりやすく示し、理解を得る説得力である。 

 米国もドイツも日本が協調すべき仲間だが、新たなトップのさじ加減ひとつで対中政策、コロナ後のEUの針路も大きく転換する。菅首相は世論の波にのまれている場合ではない。(静)