2021年が幕を開けた。1年前、これから起こる事態を予想できた人はいなかっただろう。昨年は新型コロナ一色の1年、これまで経験したことのない1年、そして例年とは違う年末年始を過ごされたことだと思う。当たり前だったことが当たり前ではなくなり、だからこそ普通に過ごせることがどれだけありがたいかを改めて感じた時間でもあった。苦境に立たされている人の力になりたいと立ち上がった人たちがたくさんいた。一方で、感染者らに対して心無い言葉を浴びせる人たちもたくさんいた。自分の行いはどうだったろうか、今一度立ち返り、見つめ直すこともコロナ禍での教訓の一つではないだろうか。

 今年の干支は「辛丑(かのと・うし)」。インターネットで調べると、十二支は植物の循環があらわされていて、辛は「草木が枯れて新しくなろうとしている状態」、丑は「種から芽を出そうとしている状態」だそうだ。まさに新しく生まれ変わる転換期といえるのではないだろうか。コロナ禍が終わり、新しい時代が始まる年にぴったりな干支だろう。牛は古くから酪農や農耕で人を助けてきた動物。ゆっくりでも、コツコツと忍耐強く前に進む、そんな1年になれば、いや、していかなければと強く思う。

 一年の計は元旦にあり、先がなかなか見通せない中で計画を立てるのは難しいかもしれないが、こんなときだからこそ目標を立ててコツコツと前に進みたい。そして人を誹謗中傷するのではなく、いたわり、慈しみ、思いやる、そんな人として一番大事な気持ちを持ち直したい。多くの人が、人にやさしくなった一年になることを願い、自戒し、新しいスタートを切りたい。(片)