コロナ禍で観光産業は大打撃を受けているが、経済再生にやはり観光は重要なキーワードの一つであり、感染症対策を万全にし、新しい旅行スタイルの中で誘客を推進していかなければならない。

 先日、由良・印南・日高川体験型観光推進協議会の体験型観光推進研修会があり、和歌山県など全国各地の観光ほんまもん体験を手掛ける藤澤安良さんの講演を聴いた。ほんまもん体験とは何のか。これまでのように名所や旧跡、神社、仏閣など、見て楽しむ観光はもう流行らないそうで、「自然」や「農山漁村の暮らし」「伝統工芸・ものづくり」など、地域に根差したほんまもんの体験こそが観光になるという。

 30分や1時間のような短い時間の体験では地域への経済効果が少ないとし、3時間程度あれば例えばその地域で昼ご飯を食べたり、一泊したりして波及効果も期待できる。そうすると、日高地方ならどんな体験ができるのだろう。自然を生かすなら日高川でのインストラクター付きアユの友釣りやカヌー体験ができる。また、農山漁村の暮らしでは稲刈りや漁師船に乗ってのクエ一本釣りなどが考えられ、法律上ハードルがあるかもしれないが、イノシシ猟に同行しての狩猟体験もおもしろいかもしれない。ものづくりなら日高町原谷特産の黒竹のあぶりや備長炭の窯出し体験、伝統の藤井和紙を復活させての和紙づくりなんかはどうだろう。

 地元の人からすればそんなの観光になるのかと思うような体験もあるが、都会から来る人にとっては新鮮に映るかもしれない。何がいいのか、どこまでできるのか、コロナ禍だからこそ、元気を出して、知恵を出して頑張ろう。(吉)