白浜町のアドベンチャーワールドで先月、2年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生した。お父さんの「永明(えいめい)」、お母さんの「良浜(らうひん)」の間に生まれたオス。いまのところ母子ともに健康状態は良好。一般公開の時期については決まっていないが、アドベンチャーワールドは「親子の様子を見ながらできるだけ早く実現したい」という。

 白と黒の体色に丸々とした体形、愛嬌たっぷりの仕草。見る人の心をわしづかみにし、癒やし度満点の姿に子どもから大人までがそのかわいらしさにハマってしまう。言い換えれば、それだけ人を引き付ける魅力を持っているということで、観光資源としても大きな力を発揮。パンダを一目見ようと、東京などの遠方からも大勢の観光客が訪れる。2年前に「彩浜(さいひん)」が生まれた時も県内外からの観光客でにぎわった。

 県観光連盟が以前に首都圏で暮らす人を対象に和歌山県の観光資源についてアンケート調査したところ、アドベンチャーワールドのパンダが認知度でトップだった。原産国の中国もパンダを外交に活用しているほどで、人の心に訴えかける力を持っているのだろう。

 今年はコロナで全国的に景気が冷え込んでいる。旅行費用を補助する「GoToトラベル」、飲食費で割引が受けられる「GoToイート」などが実施され、大きなダメージを受けた観光や飲食業界などは回復傾向にあるものの、コロナ感染拡大前に戻ったとは言い難い。人々の気持ちも暗く落ち込みがちだ。今回のパンダの赤ちゃんの誕生が人の心を癒やすとともに、県の経済を明るくする救世主になってくれることを期待したい。(雄)