海で溺れていた男性を助けたとして、串本署は5日、御坊市湯川町財部の建築士柴本米一さん(55)と、柴本さんの妻で会社員の美由紀さん(48)、すさみ町周参見の会社員橋本響さん(18)の3人に感謝状を贈った。柴本さん夫婦は釣りをしていて、溺れている男性を発見するや、すぐ通報するとともに近くの人に助けを求め、サーフィンをしていた橋本さんが救助。3人は「助かってよかった」と笑顔を見せた。

 同署によると、9月12日の午後4時45分ごろ、串本町和深の磯で釣りをしていた柴本さん夫婦が、沖で溺れている男性を見つけ、すぐ110番と119番通報。異変に気づいた橋本さんが泳いで男性のもとへ向かい、サーフボードにつかまらせて、支えながら海岸まで連れ戻した。男性は大阪市内の73歳で、けがはなく、同署の調べに対して「死のうと思って和歌山へ来た」と話したが、救助された後は涙ながらにお礼を言っていたという。 この日、同署署長室で﨑口忠署長が一人ずつ感謝状を贈呈。同署管内(串本、古座川、すさみ町)では今年に入って5人が水難事故の犠牲になっており、「大切な命を助けていただき、ありがとうございます」とたたえた。

 サイモン建築設計室の代表を務める柴本米一さん。釣り歴約25年で、グレのシーズンには毎週、現場の磯を訪れ、その日も午後から来ていた。着いたときには男性がおり、「酒を飲みながら景色を見るのが好きなんや」と言って、その後、何度も柴本さん夫婦の方を見るため、気になっていたところ、姿が見えなくなり、2人で慌てて周囲を捜索。海に仰向けで浮かんでいる男性を見つけ、橋本さんに「助けに行ってあげて」と叫んだという。

 柴本さん夫婦は「こんなことは初めて。気が動転して、早く何とかしなければ、何とかしてほしいという思いでした。誰が欠けていてもダメだったと思う」と振り返り、「本当に助かってよかったです」と話していた。

写真=感謝状を受ける柴本米一さん㊥と美由紀さん㊨