みなべ町芝崎区(松根伸区長)は、同区出身で明治から大正にかけて大阪で成功し、地域住民の生活を支援した偉人2人の石碑を移設し、19日、除幕式を行った。

 竹田由松氏と大木弥七氏の2人。竹田氏は大阪で皮革産業の社主となり一大富を築いた。地域には日々の糧となるように除虫菊の栽培を教えたほか、地域住民が炊飯や風呂を沸かす燃料にできるように猪之山を購入して寄付した。今では地域住民だけでなく町民の地震津波時の避難場所にもなっている。

 大木氏は大阪で一、二を争う飾り職人として財を成した。地域の若者には優しい心を持って強く生きよと説き、地域活性化のためにと秋祭りのふとん太鼓を寄贈。義と勇気の龍、優しさと平和の鶴をあしらっており、今でも団結のシンボルとなっている。

 ほかにも2人は故郷を思う心で子どもたちには教育の大切さを呼びかけ、長い期間にわたって教材や学費の援助を行った。2人の功績をたたえ、1932年(昭和7)に南部保育所近くの猪之山に2人を顕彰する石碑を建立した。時代の移り変わりとともに石碑の存在や2人の功績が薄れてきたため、松根区長らが「もう一度区民に2人のことを知ってもらいたい」と、猪之山観音近く、南部平野や南部湾を一望できる広場に移設した。

 除幕式には地域住民ら約100人が出席。松根区長や来賓の小谷芳正町長らが幕を引き、2人の石碑がお披露目された。

 小谷町長は「2人の功績に感謝し、第2、第3の2人のような人が出てくることを願います」とあいさつ。松根区長は協力者の池田尚仁さん、池田智昭さん、森本譲さん、田村良二さん、世話人の宮﨑繁幸さん、小山正人さんの名前を読み上げ、「令和の今、数多くの先人たちの子、孫、ひ孫たちが区内の有志となり、移設事業に協力いただいた。多くの人に感謝したい」と謝辞を述べた。

写真=松根区長㊨らが除幕し2人の石碑をお披露目