県が2019年度、日高川町蛇尾と由良町畑で実施した「GPS(全地球測位システム)首輪」活用のニホンザル行動域調査の結果がまとまった。それによると、蛇尾では207匹という非常に大きな群れを確認。前年度調査では日高町内で200頭を超える群れが確認されたが、日高地方に2つも巨大な群れがある状況を「全国的にみても異常な事態」とし、大型捕獲檻の増設など、対策を強化していく。

 調査はメスザルを捕獲して、GPSの機能が付いた首輪を装着。再び山に放ったうえで位置情報を確認し、ビデオカメラと目視により行動域や群れの数などを調べた。サルの群れは通常30~50匹で、200匹を超える群れは全国的にもまれ。今回、巨大な群れが確認された蛇尾では柑橘類が栽培されているが、サルの侵入に無防備だったり、栽培放棄されていたりするなど、サルの餌場となって繁殖が良好な状態にあると考えられるという。

 このサルの群れは有田や広川など広範囲に移動している可能性がある。さらに261匹の群れが確認された日高町と同様に子ザルが多く、今後も個体数が増えると予想される。巨大な群れは一度に大きな被害が発生することや、群れ全体を追い払いすることが困難なこと、個体数の増加に伴う群れの分裂で群れの数の増加も懸念される。一方、由良町畑の調査ではGPSを付けたメスザルが群れから離れて行動しているのか、他のサルを確認できなかった。

 日高振興局農業水産振興課は、放棄地にある餌の除去、捕獲檻の設置、防護策の設置などを推進。担当の地坂吉弘主任は「日高川町役場がサルの通るコースに大型捕獲檻を設置することになっている。地域住民の協力も必要。県、国、町では防護策設置の補助制度もあり、PRしていき、今後も適正な管理捕獲に努めたい」と話している。

 GPS首輪による行動域調査が3年目となる今年度は、日高川町玄子で実施する。この調査とは別に、県は今年度と来年度の2カ年で、県内全体のニホンザル生息数調査を行い、大まかな群れの数を把握する。今年度は日高・有田・西牟婁管内で実施。調査は業者に委託するが、詳細な方法は検討中となっている。