事故の傷病者や急病患者の救命率アップに向け、県が運航するドクターヘリと現場の救急隊員の連携を強化しようと6日、日高広域消防で症例検討会と訓練が行われた。

 和歌山ろうさい病院救急科部長で集中治療部長・岩﨑安博、高度救命救急センター助教・柴田尚明の両氏ら医師や看護師が訪問。適切な医療を早期に受けられれば、避けられた可能性がある死亡を回避し、救命率や患者の社会復帰率を高めるためには、いかに早く救命処置が開始できるかが鍵とし上で、「搬送患者の症状を重く判断する『オーバートリアージ』でいいので、早い段階でドクターヘリを要請してほしい。キャンセルでもかまいませんから」と呼びかけ、症例検討会では過去の実際の事例を挙げて措置について指導を受けた。

 訓練ではフライングドクターやナースが実際に救急車内に乗り込み、救急隊との患者情報の共有から素早い処置への移行を本番さながらに実践。「56歳男性、突然胸痛が出現したため救急要請。救急隊到着時、胸痛は持続しており、冷汗を認めた。心筋梗塞の疑いによりドクターヘリを要請」など3つの想定で行い、医師や看護師のサポートを実践した。

 救急隊は「胸の痛みを訴えていますが、意識はあります」など患者の状態を駆けつけた医師に伝達。医師と看護師は救急車内で患者に話しかけながら手際よく処置を行った。医師らは「私たちは処置が優先になるのでバイタルを見たり、手足を押さえたり目の届かないところを補ってください」「救急隊で家族の有無や連絡先を取っていただき、引き継ぎ書に書いておいてもらえると助かる」などと具体的アドバイス。救急隊員は「とても参考になった」と知識を深めていた。

写真=救急車内で処置を行う医師とサポートする隊員