みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会(会長=小谷芳正みなべ町長)と東京大学の協働により、地域循環共生圏と世界農業遺産について考えるシンポジウムが29日、和歌山市の県民文化会館で開催された。パネルディスカッションでは、小谷町長や梅加工会社㈱紀州ほそ川の細川庄三社長らが、世界農業遺産を活用したみなべ町の地域振興について活発に意見を出し合った。

 地域循環共生圏は、各地域が美しい自然景観等の地域資源を活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方で、環境省が提唱。温室効果ガス排出量削減へ脱炭素への取り組み、国連「持続可能な開発目標」(SDGs)達成を目指した次世代リーダーの育成、森里川海をつなげるプロジェクトなどを実践して、地域循環共生圏の構築を目指す。東京大学は地域循環共生圏に取り組もうと、世界農業遺産認定地域でのシンポジウムを企画し、みなべ・田辺の梅システムが認定されている和歌山で開催することになった。

 パネルディスカッションは、小谷町長、細川社長、田辺市熊野ツーリズムビューローの多田稔子会長、東京大学未来ビジョン研究センターの武内和彦特任教授らが参加。小谷町長はみなべ・田辺の梅システム、細川社長は梅酢を飼料に活用して紀州うめどり・うめたまごをブランド化した取り組みを説明。今後どのような地域をつくりたいかの問いに細川社長は「農業の担い手不足が課題。ワーキングホリデーで日本に来ている外国人に手伝ってもらっている。もっと人の交流ができる仕組み作りをしたい」、小谷町長は「農業では他産地との交流が必要。まちの魅力に気づくには一歩外へ出てみなべを見つめ直すことも大切で、若者に自分の地域のよさを再認識してもえるようにしたい」などと思いを披露した。

 武内特任教授は「世界農業遺産が地域に誇りを持つきかっけになればいい。地域に対する誇りを持つことは活性化につながる。さまざまな魅力をつなぎ合わせる一つの手法として、地域循環共生圏を活用すればいい」とアドバイスした。

 ディスカッションの前には、㈱三菱総合研究所理事長で東京大学第28代総長の小宮山宏さんが「プラチナ社会~2050年の地域社会の姿を考える、共に創る」で招待講演、武内特任教授が「世界農業遺産を活かした地域循環共生圏づくり」で基調講演、環境省大臣官房環境計画課計画官の中島恵理さんが施策紹介を行った。

写真=細川社長や小谷町長が地域振興で意見を述べた