やっと実りました――。御坊市名田町野島の農業井ノ上和彦さん(72)の温室ハウスで、南国フルーツ「アテモヤ」が実を付けた。栽培を始めて5年越し、失敗を重ねながら、ようやく成功。今後は消費者向けのパンフレットを作ったり、成分を研究したりしていくことにしており、意欲的に取り組んでいる。

 井ノ上さんは高校を卒業してから農業一筋50年以上。近年の温暖化で作物が栽培しにくくなるなか、暖房費節約になる熱帯果樹に着目し、5年前からアテモヤを作り始めた。

 井ノ上さんによると、アテモヤは、「マンゴー」「マンゴスチン」と並んで、世界三大美果と称され、「チェリモヤ」と「バンレイシ」を掛け合わせた南国果実。濃厚な甘さや食感、舌触りから「カスタードアップル」「森のアイスクリーム」ともいわれ、国内では珍しく高級果実として取り扱われている。

 アテモヤの栽培には人工授粉する必要があり、鹿児島県の生産者や大学教授らからアドバイスを受けながら本で勉強。今年9月ごろに初めて着果が確認でき、収穫を迎えた。

 ネギなど野菜栽培の傍ら、広さ6㌃の温室ハウス内にはアテモヤのほか、バナナ、チェリモヤ、アボカド、マンゴー、ライチ、パッションフルーツ、リューガンなどがずらり。昨年、竜巻とみられる突風でハウスが被害に遭いながらも、復旧させ、交配を成功させた。

 「今年やっと交配の仕方が分かってきたところ。だめやろなーと思いつつ、実がなっているのを見てうれしくなりました」とにっこり。「追熟性のため、収穫期の判断が困難な上、食べごろの判断も消費者には難しいので、パンフレットを作っていきたい」と話している。

 熱帯果樹協会、国際植物増殖者会議日本支部の会員。「アテモヤ以外の熱帯果実についても少しずつ、それぞれの特性が分かってきて面白く、温帯果実にない、人体にいい成分もあるのではと、その角度からも興味を持って研究に取り組んでいます」とますます意欲をみなぎらせている。

写真=アテモヤの実に笑顔の井ノ上さん