9月に入り、朝夕の気温が下がり、過ごしやすくなってきた。栗のいがが実り始めるなど景色は秋模様だが、まだまだ残暑は厳しい。近くの林などに足を運ぶと、セミが大きな鳴き声を響かせている▼このセミについてインターネットで調べてみると、興味深いことが多い。例えば、「実は暑さに弱いのに夏の一番暑い時期に地中から出てくる」「鳴いているのはオスで、メスは鳴かない」など。中でも意外だったのが寿命だ。「地中で過ごした幼虫が地上に出て、成虫にふ化すると、命は1週間だけ」と昔から教えられてきたが、そうではないらしい。実は2週間から1カ月程度生きるようだ。

 岡山県の高校生は捕まえたセミの羽に油性ペンで番号をマーキングして放し、後日に15匹を再捕獲した結果、クマゼミの3種で10日以上の生存を確認。最長はアブラゼミの32日間だったという。この調査結果は中四国地区生物系三学会合同大会で高校生の部(動物分野)で最優秀賞を獲得して注目された▼もう1つ興味深い話が、セミが鳴かない年は大地震が起こったということ。調べてみると、「1923年9月に起こった関東大震災では同年の夏に神奈川県川崎市多摩区の一帯でセミの声が聞かれなかった」「宝永地震が発生した1707年に三重県亀山市でセミがまったく鳴かなかった」という記録もあるという▼「セミが鳴かないのは大地震の前兆」というのは真実なのか嘘なのか。本当ならば、ことしは特に「セミが鳴かない」という話も聞かないため、大地震の発生はないことになる。とはいえ、災害はいつ起こるが分からないとも言う。常に万全の備えが必要だ。(雄)