「あおる」とは、さまざまな場面で使われるが、とりわけ「あおり運転」はいま最も有名な言葉といえる。前方の車にぴったりつけて急がせたり、道を譲らせる、車で「あおる」という言葉は、筆者が運転免許を取得した26年前にはすでに一般的に使われていた。いま世間で問題となっているあおりは、そんな生易しい運転ではなく、追い抜いて急ブレーキを踏むなど車という凶器を使った暴力行為にほかならない。常磐自動車道で起きたあおり運転と暴行事件。もはや常軌を逸しているというしかない。
あおり運転が大きくクローズアップされたのは、2017年に東名高速で起こった死亡事故。執拗なあおり運転の末、追い越し車線に無理やり停車させられた家族4人が乗ったワゴン車に後続のトラックが衝突して夫婦が亡くなった。テレビ、新聞であれだけ大きく報道されて社会問題となり、あおり運転を受けたらドアや窓をロックして外に出ない、動画を撮影するなど自分の身を守る方法も広く啓発された。今回の常磐自動車道での事件も、高速道路上で停車させられており、衝突事故が起こらなかったのが奇跡だっただろう。
容疑者が悪いのはいうまでもないが、もう一つ驚いたのは、あおり運転についての厳罰化がいまだにされていないことだ。交通事故は誰しも起こそうと思っていないが、あおり運転はまさしく故意。追い抜いて無理やり停車させる行為は危険運転以外の何ものでもない。飲酒運転の厳罰化が大きな成果を出したように、あおり運転も厳罰化するよう早急に取り組むべき。全国で注目されている今回のあおり運転報道が、単に無茶苦茶な男の暴走で終わるようなことのないよう願う。(片)


