育てて咲かせたり、美しく生けたりするのは苦手でただ見ているだけだが、昔から花は大好きだ。先日開かれた市民教養講座の第2回は、華道家・假屋崎省吾さんの講演と生け花の実演だった◆講演の内容をメモする時はいつも、その人がどんな一人称を使っているかも書いておくが、假屋崎さんは「あたくし」。「わたくし」でも「あたし」でもない。上品さと同時にくだけた親しみやすさを表し、黒柳徹子さんやデヴィ夫人も使っている。ひまわりを何本も生けながら「黄色はビタミンカラー。あたくし、大好き」とうれしそうに言っていたのが印象に残った◆ビタミンカラーは純度の高いきれいな色彩のことかと思っていたが、調べてみると柑橘類を思わせる黄色、オレンジ色、緑色などのことだった。ビタミンCが豊富なことからきている。この日生けられた作品は4点。細かな葉をびっしりつけたドウダンツツジの大きな枝に濃いピンクの百合と白い百合。赤、ピンク、黄色と色とりどりのバラにふんわりと白いカスミ草。オオタニワタリやモンステラ、細い線で構成されたシルエットが涼し気なアレカヤシとグリーンだけの作品。そしてひまわり、レモン色の小ぶりの花をたくさん咲かせた洋ランのオンシジウムと、鮮やかな黄色でまとめた夏らしい作品◆終演間際、蝶の模型を出して、4点の作品を飾りつけていった。レテノール・モルフォという、南洋に実在するキラキラ輝く青い蝶だ。ひまわりの黄色に青が映える。「青は希望の色」だと講演でも言っていた◆花や美しいものは心にうるおいをくれる。なんとも言い様のない、やりきれない事件ばかりが連日のように報道される昨今、花の力がもっと強く、すべての人の心に作用すればいいのにと思う。(里)


