日本一の梅の産地みなべ町担当となり、44歳にして初めて梅拾いを経験した。農家の息子として育ち、子どものころから手伝いをしたので畑仕事には慣れているつもりだが、初体験となると勝手が違うのと、加齢の影響は自分が思っている以上で、若いころのように体が動かないのが情けなかった。楽な仕事などないが、この梅がまちを支えているのかと思うと作業も誇らしく思え、コンテナがすぐにいっぱいになるとうれしくなる。同じ農業でも作る作物によって作業工程も生活スタイルも大きく違う。もっと効率よくできる方法はないかなど、考えるいい機会になった。
ちょうど同じころ、うめ研究所が今年度から実証を始めたスマート農業を取材した。梅農家の作業省力化へ、ICTやロボットを活用する取り組みだ。例えばリモコン式自走草刈り機は、大きなラジコンカーをリモコンで操作して草を刈る。従来の人力の草刈り機は重労働だが、リモコン式なら女性や高齢者でも操作でき、作業効率化や人手不足解消にも直接つながる。いつかはお掃除ロボ「ルンバ」のようにAI搭載の草刈り機が自動で働く時代がくるだろう。「こんなのがあれば」という農家の思いは実用化へ向けて少しずつ前進している。
少子化に歯止めがかからない日本では今後、すべての分野で人手不足はますます深刻化していく。中でも農業は高齢化率が高いといわれる。人材育成と合わせて、スマート農業、AI農業を取り入れていくことは必須になってくる。日高地方は果樹、野菜、米、ハウスとあらゆる形態の農業が盛んだからこそ、スマートやAI農業の全国先進地として、県を挙げて取り組んでいくべきではないか。(片)


