本州最大のアカウミガメの産卵地、みなべ町の千里の浜で今年も、日本ウミガメ協議会のボランティアが現地で活動を行っている。大阪動植物海洋専門学校と、大阪ECO動物海洋専門学校に通う学生5人で、今月中旬から連日、夜から翌未明にかけて浜を巡回。昼間は産卵場所に保護柵を設置するなどアカウミガメの保護や生態調査に活躍しており、産卵地の維持に大きく貢献している。

 昨年完成したウミガメ館を拠点に、メンバー5人が入れ替わりながら、千里の浜沿いに活動している。

 連日午後8時から翌午前4時まで、延長約1・3㌔ある砂浜を歩き回り、上陸したウミガメに個体識別タグの取り付けや甲羅の大きさの測量など生態調査を実施。昼間は産卵場所に、野生動物の食害から守るために鉄製の保護柵を取り付け、保護活動に精力的に取り組んでいる。

 25日にはリーダーで昨年に続いて2年目の小島拓巳さん(19)=大阪動植物海洋専門学校2年=と、同じく2年目の石川友貴さん(19)=同2年=、今年初参加の北田秀斗さん(20)=大阪ECO動物海洋専門学校2年=の3人が活動。照りつける日差しの下、産卵した場所に柵を取り付け、夜は浜を巡回した。8月には子ガメのふ化状況を観察、調査する。今年は産卵が例年に比べて少ないが、これから7月にかけてピークになるという。

 3人とも将来は水族館で飼育員になるのが目標という。小島さんは「有数の産卵地であるみなべ町で先人がやってきた調査に関わり、世界に情報発信されることにやりがいを感じています。昼夜逆転の生活にも慣れてきましたし、生き物が好きなので楽しく活動でき、すごくいい経験にもなります」と充実感いっぱい。石川さんは「昨年は子ガメの調査だったので、ことしは親ガメに関わりたかった」、北田さんは「自然に生きるウミガメを間近で観察することで、海を上がって産卵するまで数十㍍も距離があると知り、勉強になりました」と話している。

 観察希望者はみなべ町教育委員会への申請が必要。詳細は℡0739―74―3134。

写真=産卵場所に保護柵を取り付けるボランティアメンバー