FM COCOLOの人気DJ、ヒロ寺平さん(67)が9月末で番組を降板、引退するという。FM802の開局から現在まで30年間、個人的にはその声と音楽にいろんな思い出が重なる。

 和歌山県民、とくに紀中、紀南の住民にとって、FMはクラシックが中心のNHKしかクリアに聴こえないが、時代が昭和から平成に代わった年に登場し、原則、邦楽やアイドル曲を流さないファンキーミュージック(FM)802は衝撃だった。

 大阪のバイト先の先輩が愛車に貼っていたバンパーステッカーに憧れ、いつかは自分もと思ったものの、御坊は肝心の電波が届かなければ、ステッカーをくれるファンキーカマロも走らない。それでもブームというのはえらいもんで、電波が届かぬ御坊でもステッカーを貼った車を何台も見かけた。

 AKBのヒット曲と同じ「ヘビーローテーション」も、40代以上のオッサンには802の方がしっくりくる。友人のY君は汚い下宿の壁にデビュー間もないマライア・キャリーのポスターを貼り、彼女の声と歌唱力の素晴らしさを得々と語っていたが、いま思えば、それもヒロさんの受け売りだったのではないか。

 情報も音楽も、平成半ばまではテレビ、新聞、ラジオが主な媒体だったが、いまはどれもネットにとってかわった。ヒロさんはラジオ業界を取り巻く環境の変化を引退の理由に挙げ、「その環境が徐々に息苦しいものに変化してきた」という。

 それでもリスナーは、ラジオの中から語りかけるDJの声に耳を傾け、互いに顔が見えない分、リスナーはまるでDJが友人のような親近感を覚える。選曲、構成もすべて1人でこなすウルフマンジャックスタイル、Hiro―Tの引退が惜しまれる。(静)