自由律俳句結社「青い地球」の第48回全国大会が湯浅町の湯浅城で開かれ、御坊市塩屋町で活動しているはまゆう吟社の田中よしみさん(82)=御坊市塩屋町北塩屋=が年間最高賞の青い地球賞を受賞した。以前、清新な作品に贈られる新風賞は受賞したが、青い地球賞は今回が初めて。祝福の花束を手に「うれしいです」と喜びをかみしめている。

 「青い地球」は1961年に創立。その年に初めて有人宇宙飛行を成功させたガガーリンの言葉「地球は青かった」から名前をつけた。東京、京都、東北、九州など各地に結社がある。年に1度の全国大会は会場を回り持ちで開いており、今年は和歌山の番で、はまゆう吟社が主催した。

 田中さんは50年以上前に自由律俳句を始めたが、おととしの8月に長男が52歳で他界。その後、自身も体調を崩して入院するなどし、この2年ほどは活動を休んでいた。再開してすぐに受けた念願の最高賞に喜びもひとしお。

 受賞作品は、「ひつじ田の風」と題する20句。「そこがお浄土かい夢の中の足音」「あの子にも巻いてやる今年の恵方巻」など亡き息子への思いを込めた句、「のうぜんの真っ只中で病んでいる」と、明るいオレンジ色の夏の花ノウゼンカズラと病気の自身との対比を詠んだ句、「てのひらに円まる団子虫の意思」など小動物から生命の息吹を感じる句と、心の動きが詠まれている。表題句は「羽生えて優しいひつじ田の風」。ひつじ田とは刈り取りが終わったあと再び青い稲が生えそろった田のことで、再生への希望を表している。

 田中さんは「あまりにもいろんな試練が重なったこの2年間、へこんでしまって何をする気力もなくしていた時、受賞の知らせはどんな宝にも勝る喜びでした。句友の皆さんに助けていただいてここまでくることができました。『これからまだまだ精進して、皆さんと一緒に頑張るぞ!』と仏壇の息子に報告。『そいでこそ(それでこそ)お母ちゃんや』と遺影もほほえんでくれたようでした」と喜びを話している。

写真=花束を手に喜びの田中さん