カラスの言葉を覚えれば、人間もカラスと会話ができる? そんなドラえもんの道具のような話を、宇都宮大学の塚原直樹特任助教(39)は真面目に研究しており、先日、動物声帯模写芸人と組んだ実験がNHKで紹介されていた。
結果、都会の公園に群れるカラスとあいさつを交わし、群れをパニックに陥れる鳴き声は見事に成功した。人を笑わせ、考えさせてくれる研究に対して贈られる「イグノーベル賞」に一歩近づいたという。
イグノーベル賞は、本庶佑京都大特別教授(76)が受賞することになったノーベル賞のパロディー。とはいえ、受賞者はみな真面目な研究者であって、ウケ狙いだけでは受賞できない。
本家のノーベル賞もそうだが、おバカでキテレツなイグノーベル賞も日本人の活躍が目覚ましい。今年は座った姿勢の大腸内視鏡検査を、自らの体で研究した長野の医師堀内朗氏(57)が医学教育賞に決まり、日本人の受賞は12年連続となった。
ほかにも、「自分の足が臭いと思っている人の足は臭く、思っていない人は臭くない」(医学賞)、「自分の話した言葉を少し遅れて聞かせることで、迷惑なおしゃべりをやんわり制止する装置の開発」(音響賞)などがある。
イグノーベル賞はユーモアの分からない一部の学者が反発しているが、人間の好奇心、真理の探究はどれも結果としてそれが面白く、役に立ち、悪用されるのも紙一重。現実にダイナマイトや原子炉、GPSなど、殺戮の軍事技術がもたらした人類への貢献ははかりしれない。
イグノーベル賞受賞者を突出して多く輩出しているのは、イギリスと日本。創設者いわく、「多くの国が奇人変人を蔑視するなか、この両国は誇りにする風潮がある」。言い得て妙。(静)


