先月、「字遊展」と題してユニークな書展が日高川交流センターで開かれた。決して大きな展示会ではない。廊下の壁に子ども達の作品を展示したささやかな作品展だが、その企画が面白い◆日高川町、大前書院の生徒達の作品で、テーマは「数えるを楽しんで」。自分の好きなものを数える数詞を選び、即興で伸び伸びと書く。リンゴでも本でも座布団でも花でも、すべて名詞に「s」をつければ済む英語と違い、日本語には「個・冊・枚・輪」など数えきれない数詞がある。いろんな言葉を覚え、自分のものにしつつある子ども達が、身近に感じられる物、好きな物に、言葉を通じてより理解を深めていく◆子ども達の創作意図が、一言のコメントで添えられているのも面白い。鳥を数える「羽」。飼っている鳥をイメージしたということで、2羽の鳥が並んで止まり木に止まっているような、ふわっとした形で書かれている。何にでも使える「こ(個)」だが、イチゴを数えると決めた子は、丸みを持たせて粒立った「こ」。小さく、幾つも紙いっぱいに書かれた様子はイチゴが並んでいるよう。電車が好きな男の子たちは「両」。その文字はちゃんと横に長く、箱型の車両に見えてくる。意表をつく「世」は、物語に出てくる一世、二世。ヨーロッパの貴族だろうか。すごいと思ったのは「叢」。入道雲を数えたという。そんな数え方があったとは知らなかった。回転しているような角度で書かれた「群」は、ロマンチックに星を数えている◆手書きの文字の形には、表情がある。気持ちを込められる。文字の正しい形を学ぶ習字とはまた違う、それは芸術の始まりかもしれない。心を遊ばせ、自分の気持ちを自由に表現する術を早くから手中にできるのは、幸福なことだと思う。(里)


