日高新報創刊90周年記念式典・祝賀会が24日、みなべ町山内のホテル&リゾーツ和歌山みなべで開催。仁坂吉伸知事、二階俊博自民党幹事長ら政財界から約260人が出席し、節目の年を盛大に祝った。平成元年から30年にわたり社長を務めた津村尚志会長、今月から就任した津村周新社長があいさつに立ち、多くの人の長年の支援に感謝。祝宴の席で式などの模様を掲載した「マイしんぶん」がその場で配布され、スピード発行に驚きの声が上がっていた。

 開式と同時にあいさつに立った津村会長は、1928年9月13日に弁護士の井上豊太郎氏によって創刊されたことなど歴史を紹介し、「戦前、戦中、戦後の幾多の困難を乗り越えてきた。創刊号で井上氏は『地方新聞は読者の善良な友人であれ』と書いている。地方新聞の真髄をついた言葉。私はそれまでの社是の『公平無私』に『一筆同心』を加え、全社員が一丸となって、常に読者と同じ目線でいい紙面を作るよう心がけ、皆様のご支援のおかげで今日を迎えた。だが時代は変わり、活字離れが進んでいる。100周年へ向かう次の10年はこれまで以上に厳しいものとなる。新しい役員の皆さんにはそれを切り開いて、輝かしい100周年を迎えられるよう祈念したい」と述べた。続いてマイクの前に立った津村周社長は「誰でもどこででも簡単に情報を発信できる『情報氾濫時代』を迎えているが、スピードはあっても責任のない情報。地方新聞の記事は記者が足でかせいだ正確なものであり、その地域の情報に関しては世界一。それが地方新聞の魅力になっている。これからは時代に対応したこと、地域の皆様にとって本当に役に立つことをいろいろやっていきたい。『温故知新』から一歩進んで『温故創新』で新役員、社員とともに挑戦していく」と決意を述べた。来賓を代表し、まず仁坂吉伸知事が「ローカルな情報を丁寧に拾って提供し、読者と双方向のやりとりができている点が素晴らしい」、続いて二階幹事長が「日高新報には子どもの時から親しんでいた。大きなまちではないのに地方新聞が充実しているのは、地域の皆が文化に熱心に取り組んでいる証拠で誇るべきこと」と祝福。龍神康宏御坊市副市長が柏木征夫市長のメッセージを代読、中村裕一県議も祝辞を述べた。

 90周年記念事業実行委員会の玉井圭委員長から事業の内容を紹介。前役員の天野孝二、新谷芳彦、一松輝夫、須﨑耕一の各氏に感謝状を贈呈。新役員の雑賀孝之、石倉大裕、秋山総一郎、石橋幸四郎の各氏と顧問税理士の水城実氏を紹介した。勤続10年以上の社員を表彰し、祝宴に移った。よさこい踊りの夢屋舞組が「365歩のマーチ」で軽快に入場。鶴と亀が描かれた衣装で祝福の舞を威勢よく踊った。日裏勝己日高郡町村会会長の音頭で乾杯。参加者は歓談と宮本静さんの歌謡ショーを楽しんだ。その場で、90周年式典を紹介するマイしんぶんが発行され、数分前の歌謡ショーまで写真が掲載されているのを見て「すごい」「速い」と驚きの声が上がっていた。

写真=あいさつする津村周新社長