4日に近畿を縦断した台風21号は、龍南地方にも大きな爪痕を残した。みなべ町では強風にあおられて転倒し、けが人が発生する事故が発生。倒木も各所でみられ、道路を寸断したり電線を切断するなどの被害が出たほか電柱が折れて倒れたところも。民家の壁や瓦が吹き飛ばされる被害も相次いだ。同地方ほぼ全域で同日午後から停電が発生、翌5日になっても復旧していない地域が多く、生活に大きな影響を与えた。
みなべ町では4日午前中から台風による強風が吹き、町などがまとめた被害状況によると、午後1時半ごろに南道の女性(85)が敷地内の郵便受けに新聞を取りに行ったところ強風にあおられ転倒し、左足を骨折。日高広域消防南部出張所が出動し、田辺市の南和歌山医療センターに搬送された。倒木による被害も相次ぎ、上南部中学校体育館東側に植えられていた大木(高さ約15㍍)が倒れて前面の道路をふさいだ。東本庄の六十川地区や清川の木ノ川地区などでも倒木による通行止めがあり、市井川地内では山の斜面の木が倒れて電線を切断した。南部高校農場近くの電柱も強風で真っ二つに折れた。
海岸沿いでは高波や高潮の被害も出た。埴田のバス停「一本松」近くの漁港では、港内に設置していた物置や作業場の施設が倒壊。近くに住む男性は「午後1時ごろ、高潮で海水が防波堤を越えてきた様子を自宅の2階から見た。すごい勢いだった」と話していた。堺漁港でも流木や施設内に置いていたコンテナなどが散乱したほか、中間育成していたクエが停電で酸欠になって大量死した。町内の各漁港でもゴミが流入する被害があった。瓦や壁、看板などが飛ばされた光景も各所でみられた。南部中学校ではテニスコート近くに設置していたプレハブ倉庫が強風で飛ばされ、近くの道路沿いにある木とブロック塀に引っかかった。
午後1時すぎから停電が発生。翌日になっても復旧していない地域が多く、長時間にわたった。学校関係では5日午前11時現在では南部小学校、高城小中学校、清川小学校の4校が停電中。給食センターも午前10時半ごろまで停電していたため、全8小中学校が臨時休校となった。清川に住む女性(56)は「停電で電気調理器が使用できず、カセットコンロを使って簡単な夕食をつくった。ろうそくを立てて食事した。携帯電話も充電することができず、不安な夜だった」と話していた。
田辺市龍神村ではけが人はなかったが、電柱の倒壊、倒木による電線の切断や通行止めが発生。停電は4日午後0時すぎごろから発生し、全域に及んだ。5日午前10時半現在、ほぼ復旧していない。
写真=上南部中学校近くの大木が倒れ道をふさいだ


