開幕前の静けさがうそのように、日本中が熱を帯びているサッカーワールドカップ。勝つか負けるかでこれほど盛り上がりの差があるのかとあらためて思う。予選グループ戦最終戦、ポーランド戦の日本の戦い方は賛否両論。海外メディアを中心にかなりの批判があり、実際テレビ観戦していて気分のいいものではなかった。最後の約10分だけだが、見ていて面白くないのはスポーツとしては致命傷になりかねない。ただ、個人的には、覚悟を決めて戦った日本代表を評価したい。決勝トーナメント進出という結果を出したことがすべて。ワールドカップで16強に進むことはそれだけ大きなことで、選手たちは結果を出すために必死で戦っているのだ。

 もう一つ、海外メディアで大きく注目されていることがある。日本人サポーターのゴミ拾いである。試合観戦後、スタジアムのゴミを拾ってきれいにする、日本人の美学であり、同じ日本人として誇りに思う。セネガルやポーランドのサポーターとも一緒に掃除したり、ほかの国のサポーターにも広まりつつあるという。日本のJリーグでも、ほかのスポーツでもこういうことが広がっていけばいい。素晴らしい見本である。

 ワールドカップは将来のプロ選手を目指す子どもたちも注目する大会。ポーランド戦の戦い方、心豊かなサポーターの姿を見て、感じることはたくさんあるだろう。正解も間違いもない、いろんな意味で手本にしてもらいたいと思う。さて、日本初のベスト8入りをかけて、ベルギーとの一戦が迫っている。格上相手でも、何が起こるか分からないからスポーツは面白い。子どもたちが、日本中が歓喜に包まれる戦いを見たい。(片)