来月の米朝首脳会談を前に、日本、米国、北朝鮮、韓国、中国の外交交渉が目まぐるしい。先の日中韓首脳会談は非核化に向け、3カ国が連携、協力することで一致したというが、非核化の対象が北朝鮮なのか朝鮮半島なのか、肝心な点がはっきりしない。
 日本は一貫して、北朝鮮の完全で常に検証可能、かつ不可逆的な核の廃棄を求めている。CIAとMI6の専門家が入国し、ミサイルや核・化学兵器関連物資も含めてすべて処分を確認、疑惑施設への立ち入りもすべて認めた、いわゆる「リビア方式」である。
 これに対し、トランプ大統領は「シンゾーの顔をつぶすことはしない」とし、北朝鮮に超強硬派のボルトン元国連大使を安全保障担当の大統領補佐官に据えた。ボルトン補佐官は以前から北朝鮮の言動はすべて偽りだと語り、非核化のプロセスはリビア方式しかないと言い切る。
 大統領の右にボルトン、左にこれまたタカ派のポンペオ国務長官とくれば、交渉が始まる前から北朝鮮へのプレッシャーはすさまじい。今年になって斬首作戦が現実味を帯び、金委員長は韓国との融和を演出し、手のひらを返して中国の習国家主席に泣きついた。
 何とか段階的な非核化、同時並行的な制裁解除を受け入れてもらえないか。その口添えをお願いしたと思われるが、シンゾーと堅い絆で結ばれている大統領が折れる訳はなく、日本はさらに拉致被害者の全員即時帰国という条件を突きつけている。
 先代から欺瞞に満ちた外交を続けてきた北朝鮮が、この厳しい日米の要求を受け入れるとはとても思えない。制裁の維持はもちろん、大統領のテーブルにはまだすべての選択肢がある。日本は最悪の事態の備えを急がねばならない。  (静)