日本の高齢化率は間もなく30%に達し、近い将来は4人に1人が認知症といわれる時代がやってくる。誰もが避けては通れない道であろう。4人に1人となると、自分、パートナー、両親、割合ではこの中の誰かがなるのだから、やはり他人事ではない。だからといって若いうちから予防のために何かをするということも難しかろう。しかし、いまのうちからやれることはある。認知症とはどういう病気で、どのような症状があり、支援に必要なことは何か、まずは知ることである。
 認知症支援施策では全国先進地であり、NHK厚生文化事業団の認知症にやさしいまち大賞を受賞した御坊市を取材していると、一般住民としてどうかかわるべきなのか、勉強になる。いまの支援のあり方としていわれているのが、認知症本人の声に耳を傾け、その人のやりたいことを形にするサポートをすることだ。声に耳を傾けるのは介護専門員や行政職員の役割が最も大きい。われわれ一般住民は、介護専門員らの協力依頼に快く応じ、本人がやりたいことを実現させるサポートをすることだろう。
 先日、御坊市の認知症対応型デイサービスあがら花まるで、利用者の男性たちが「餅まきをやりたい」という声を実際に形にした。呼びかけに応じて餅を拾いに来た住民は皆、声を形にするサポートをしたということだ。認知症の人を支えるというと難しいように思うが、参加するだけで立派なサポーターになれるケースはたくさんある。だからこそ、介護施設、行政、地域住民の日ごろからのつながりが大事なのだ。各施設は住民との顔の見える関係づくりに力を入れている。住民も現状を知り、関心を持つことから始めよう。(片)