一生に一度の記念だから、友達と同じ振り袖を着たい、着せてやりたい――。そんな新成人と家族の思いを踏みにじり、喜びの日を怒りと悲しみの日に変えてしまったレンタル着物事業者の騒動。社長は謝罪どころか、すべての連絡手段を断って雲隠れ。
 一部報道では、店舗の従業員は数カ月も給与が支払われず、明らかな経営破綻に陥りながら、稼げる成人の日まで強引に営業を続けていた。社長自ら対応した客には、「割引サービスがある」などと現金の振り込みを促していたという。
 よく似た騒ぎでは最近も格安旅行会社の破産があったが、こんなことになるとは夢にも思わず、晴れ姿を思い描きながら喜んで契約した新成人とその家族、給料ももらえないまま頑張っていた現場の従業員を裏切った精神的な罪の重さははかり知れない。
 あたりまえ、顧客が商品を選ぶ際には、店側とさまざまなやりとりがあり、互いに納得できて契約となり、客は代金を支払い、店は約束の商品、サービスを提供する。どちらもこれを守らなければ罪となり、相手だけでなく周囲からも信頼を失う。
 「最終的かつ不可逆的な解決」を約束した慰安婦問題に関する日韓合意の検証も本質は同じである。日本は譲歩を重ね、安倍首相が合意の最低条件としてしつこく確認したという少女像の撤去は完全に反故にされた。相手が相手だけに「やっぱり」の感もあるが、自分は悪くないと開き直るところがある意味、逃げた社長よりタチが悪い。
 韓国は自国開催の冬季五輪を目前に、核開発断念へ日米と協調して圧力を強めているはずの北朝鮮との間で妙な動きを始めた。開会式に安倍首相を招待しているという。理解できない不気味さは北も南も同じである。   (静)